第3話の振り返りです。今回も凄いです。長くなりますよw 今回はWOWOWの吹き替え版をもとにレビューしていきます。
クーパーはブラックロッジから脱出し、ニューヨークのグラスボックスを経て、宇宙みたいな空間をさまよっています。宇宙じゃないかもですが、背後に星が見えるので宇宙空間ということにしておきましょう。
コンクリートの建物に辿り着きました。クーパーのいるベランダみたいな場所から、水面が見えます。あたりは紫色の空間。孤島の廃墟みたいな建物です。
建物の観音窓を開けて中に入ると……赤いドレスを着た、目のない女がいます。動きが不規則です。奥に暖炉が見えます。
ここも異空間ですねえ。
クーパーが「ここはどこ?」「我々は誰?」と質問しますが、女のつぶやきは、まったく聞き取ることができません。
すると、ドアをガンガン叩く音が! 女は唇に人差し指をあて、「シー!」の合図をクーパーに示します。
クーパーは、部屋にある機械が気になっています。そこには「15」の文字が見えます。
女は「ダメダメ、そっちいっちゃダメ」って感じでクーパーを制します。
女はハシゴを登り、部屋の屋上に出ます。すると一面宇宙空間が広がっており、この部屋が、宇宙に浮かぶ箱であることが分かります。
煙突のような装置の横にレバースイッチがあり、女はそれを「ガッコーン!」と下ろす。女は感電したように痙攣し、宇宙空間へと消えてしまいました。
なんとこの目のない女は、我らが裕木奈江でした。「Naido」という謎の役名。ここら辺は、エンドクレジットが出るまで分からない情報です。「ツイン・ピークス」に出演した唯一の日本人俳優、裕木奈江は、クーパーを救い、宇宙に飛んでいきました。
宇宙空間。クーパーの前に何者かの巨大な顔が横向きで現れ、「ブルー・ローズ」と一言残して消えて行きます。「ブルー・ローズ」の意味は「不可能なこと」「この世に存在しないもの」。
なんとこの横向きの男性は、ブリッグス少佐でした。これもエンドクレジットで判明した。ちなみにブリッグス少佐役のドン・S・デイビスは、2008年に亡くなっています。死人をも働かせるデビッド・リンチ、恐るべし。
そう言えば、第2話で「お前はブリッグス少佐に会った」ってフィリップ・ジェフリーズが言うシーンがありました。「The Return」ではブリッグス少佐がキーパーソンのひとりですね。
「The Return」は、登場人物を判定するのに、エンドクレジットをしっかり見ることが重要なのよね。この、横からデカい顔が出てくる演出、「イレイザーヘッド」のオープニングとおんなじですよ。
そしてブルー・ローズと言えば、これですね。「ローラ・パーマー最期の7日間(以下FWWM)」のリルの胸。確か、リルのしかめっ面にも意味がありましたよね。地元警察と揉めてるとかなんとか。
もうね。リンチが頭の中のイメージをすべて吐き出してね、壮大なサーガを作っているのが「ツイン・ピークス The Return」なんですわ。
クーパーが階段を下りると、部屋が以前と変わっていて、さっきの「15」だった装置の数字は「3」になってる。
女も別人になっており、彼女の腕時計が2時52分を示しています。
この女は、ロネッタ・ポラスキー役と同じ女優、フィービ・オーギュステインなんだそうです。これもクレジットで判明。
……しかし今回は、観念的な回だわ。
さて、車を運転するバッド・クーパー。時計の針が2時52分を指しています。シガーライターのソケットがバチバチ音を出しています。
第2話で、シカモアの木が踊っているシーンがありました。
「253 Time and time again…」
「Bob Bob… Bob」
「Go now! Go now!」
2時53分に行けと言っているんですね。あと1分後です。
クーパーが「3」の装置に向かっていくと、クーパーの頭からバチバチと火花が。
When you get there… 「あなたがそこに着くときには」
You will be already there… 「あなたはもうすでにそこにいるだろう」
You’d better hurry… 「早く!急いだ方がいい」
My mother’s coming. 「私のママが来る」
ドアを叩いているのは、この女の母親なんでしょうか?
機械に吸い込まれるクーパー。頭がブルブルとシェイクして「ロストハイウェイ」みたいだ。
靴だけが残ってしまう……。
なるほど!
最初、機械の数値は15でした。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」にならって、これを15ジゴワット(GW)の物体転送装置だとしましょう。クーパーを現実世界に転送するためには、15GWだと電力がデカ過ぎて、黒こげになってしまう危険性があります。
だから、結木奈江が「ダメダメ、そっちいっちゃダメ」って、首が飛ぶジェスチャーをしながらクーパーを必死で止めた。
で、一回屋上に行って、スイッチを下ろして帰ってきたら、装置の電力が3ジゴワットになっていたので、クーパーは無事に転送できたというワケですよ。
デビッド・リンチの作品は、「電気」が重要です。あと「炎」も。
さて、リンカーンを運転中のバッド・クーパー。
気分が悪くなって、操作を誤り、車は土手に乗り上げひっくり返ってしまう。
ゲロ吐きそう。シガーライターが相変わらずバチバチいってる。
赤いカーテンが車の前に見える。さあ、またしても衝撃のシーンが現れます。
裸の黒人女とクーパー。情事の後の光景です。
「ダギー、左腕どうしちゃったの?」
「さあ。しびれちゃったんだよ」
ダギーって誰だよ! これもカイル・マクラクランだよ! これで3役目です。
そしてこの「しびれる左腕」というのも、かつて「FWWM」に登場したモチーフです。
Haps Dinerにいた女店員が、「初めて話すけど、テレサ・バンクスは死ぬ前に腕がしびれていたのよ。左腕が。麻薬のせいよ」というのがありました。てことは、ダギーもドラッグ中毒なのか。
ダギーの左手には、フクロウの指輪が見えます。「FWWM」でテレサ・バンクスがしていた指輪です。この指輪をつけた人は、必ず死ぬ(消える)運命にあります。
女がシャワーに行ってる間、カラシ色のジャケットを着るダギー。気分が悪くなって、床を這う。
車のバッド・クーパーもゲロ吐きそう。赤いカーテンが出現。クーパーA、クーパーB(バッド・クーパー)、クーパーC(ダギー)、重要なシーンであることは間違いありません。
ダギー、ついにゲロを吐く。赤いカーテンが現れる。近くに電源コンセントが4個見える。落雷みたいな音とともに、ダギーが消える。
車でゲロ吐きそうなバッド・クーパーの前に、一瞬ダギーが現れる。赤いカーテンも。その後、激しくゲロを吐くバッド・クーパー。
第3話、ゲロだらけですww このゲロは「ガルモンボジーア」なんでしょうか?
舞台はブラックロッジに移動。
椅子にはダギーが座っていて、目の前には片腕の男(マイク)が。
ダギー:I feel funny. What’s happening to me. 「妙な気分だ。オレに何が起きてる?」
片腕の男:Someone manufactured you. 「誰かが作ったのだ。お前を」
For a purpose… 「ある目的のために」
But I think now that’s been fulfilled. 「だが、おそらく目的は達成された」
ダギーは靴を履いていない。左手が小さくなっていく。
ダギーの指から指輪が落ち、顔が消えて真っ黒な煙になり、金色の玉になる!
意味分からん。誰か説明してくれーーー!
片腕の男、指輪をテーブルの上に置いて立ち去る。
もうこれ、ついて行けない人も多いんじゃないかと思います。マジで。
ダギーが消えた部屋では、4個あるコンセントの右上の穴からクーパーが出現します……靴は履いていません。「3」の装置から転送されてきたんだわ。
黒人女(ジェイド)が戻ってきて、クーパーを発見。
「ダギーどうしたの? その服? その髪型? 靴を履きなさい!」
クーパーは立ちつくし、何も言葉を発しない。靴の履き方も分からない。
「鍵持ってるの?」
ジェイドがクーパー/ダギーのズボンのポケットを探ると、グレートノーザンホテルの315号室の鍵が!
おおおお。グレートノーザンの鍵も転送されてたのね。
当然、その鍵のことを何もしらないジェイドは、クーパー/ダギーのポケットに鍵を戻す。
ジェイドの車(ラングラー)の隣には白い車があって、それがダギーの車らしい
ダギーの車をチェックする若者。ダギーもまた、何者かに命を狙われているらしい。
若者がライフルで黄色いラングラーを狙う。
クーパー、グレートノーザンの鍵を車の床に落とす。
男A「ジーン、ヤツは車に乗ってない」
男B「まだ家の中にいるんだろう。ヤツの車に仕掛けるよ」
男A「了解。Mikey’sで会おう」
男B、ダギーの車の床下に、マグネットで何かの装置を取り付ける。
向かいの家で、「119、119」と大声でつぶやく女。
少年が一部始終を目撃している。
119の女、何かの錠剤を一錠を、ウィスキーで飲み込む。
一度ひっくり返って、路肩で止まっているバッドクーパーの車に、警察が到着。
「ひでえ臭いだ」とむせながら、救急車とガスマスクを要請。
ツイン・ピークス保安官事務所。
ホーク、アンディ、ルーシーが集まっている。
「何が無くなった?」「それはここにあるのか?」
「与えられたのは、オレのルーツ(heritage)に関係あるというヒント」
「落ち着いて、最初から始めよう」
ルーシーが「無くなったのはウサギのチョコよ!」と言ってホークをイラっとさせる。
Dr.ジャコビーのトレーラーハウス。スコップに金のスプレーを吹きかけるジャコビー。
スコップは5本吊ってある。足下のペダルを踏むとスライドする。
シルバー・マスタング・カジノに連れてこられたクーパー/ダギー。ジェイドから5ドルもらってカジノに入ります。「何かあったら助けを呼びなさい」
カジノで「ハロォーオー!」と叫びながら、ジャックポットを連発するクーパー/ダギー。彼には、ジャックポットを出す「当たり台」が見えるんです。
この一連のジャックポット・シークエンスは、5分間続きます。今回の「The Return」は、時間に余裕がありすぎな演出が目立ちますね。
FBIのフィラデルフィア支部では、ゴードン(デビッド・リンチ)、アルバート(ミゲル・フェラー)、タミー(クリスタ・ベル)が会議してます。
ゴードンに「クーパー捜査官からお電話入ってますが」という呼び出し。来たぞ来たぞ。
ゴードンはバッド・クーパーと電話で話し、「サウス・ダコタのブラックヒルズに行くぞ。タミー、君も来い」「この件は極秘で進める」と。
このタミーを演じるクリスタ・ベルという女優は、歌手でもあります。昨年LAで行われたデビッド・リンチの「Festival of Disrupution」にも出演し、腰をクネクネ揺らしながらセクシーな曲を歌ってた。
ロードハウスのエンディングシーン。バンドが演奏するのは「MISSISSIPPI」というナンバー。
【第3話まとめ】
- クーパーは、ついにブラックロッジを脱出し、現実空間に戻ってきました。しかし、バッド・クーパーと入れ違いに戻る予定が、ダギーという男と入れ替わって戻ってきた。ダギーは「誰かによって作られた」人物。ダギーはフクロウの指輪をはめていたが、ブラックロッジで肉体が消滅し、金の玉になってしまった。
- 転送装置は、間違った電圧(とか電流とか何か)のものを使うと、転送が失敗するらしい。クーパーは「3」の装置から転送されました。
- 「ブルー・ローズ」が登場した。ブリッグス少佐による啓発。
- クーパーはFBIエージェント時代の正気が戻らず、記憶喪失のような状況になっています。
- バッド・クーパーは、ブラックロッジ行きを免れ、ゴードンに電話でアポを取りました。第4話で再会することになるでしょう。
- ゴードンとアルバートは一緒にニューヨークのグラスボックスの事件を捜査しています。タミーという女捜査官が、ふたりをサポート。
- ダギーも何者かに命を狙われていたようです。
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