さあ、第2話をレビューしていきましょう。すべてのエピソードで、撮影監督はピーター・デミング(「マルホランド・ドライブ」「ロスト・ハイウェイ」)、プロダクション・デザインはルース・デ・ジョン(テレンス・マリックの近作3本を手がけた)が担当してます。
独房のヘイスティングスに、妻が面会に来ます。妻は夫の浮気に気づいており、夫は妻が浮気しているのを知っていました。いわゆるダブル不倫。妻の浮気相手は、弁護士のジョージ。ヘイスティングの友人で、これから彼の事件を担当する弁護士です。むちゃくちゃ。
妻は嬉しそうに独房を後にします。「あなたは監獄暮らしよ!」という捨て台詞を残し。
ここで、となりの独房の囚人(ガン黒の男)が、煙のように消えるシーンが! 何でしょう? 「マルホランド・ドライブ」や、「FWWM」でも同様のガン黒キャラが登場しますよね。ひとつ宿題できた。
妻が戻ったヘイスティング家には、何とバッド・クーパーが待っていました。「何であなたがここに?」「お前はよくやった。これはジョージの銃だ」そしてヘイスティング妻に向けて発砲!
バッド・クーパーは人殺しです。そして彼も、サウスダコタにいたってことですね。
舞台は移ってラス・ベガスのとあるオフィス。MR.トッドがロジャーを呼びます。現金の束を2つ渡し「彼女に、仕事だと言え」。これは殺しの依頼っぽいですねえ。
バッド・クーパーはダイナーにいます。レイ、ダーリヤ、ジャックと一緒。クーパーはヘイスティングの秘書から情報をゲットしたい意向。それができるのはレイ。
ツイン・ピークスでは、ホークがブラックロッジの入り口を探しています。丸太おばさんと電話で話しながら。「私は弱ってしまって、そこには行けないの。でも、あとでパイとコーヒーを差し入れするわ」
ブラックロッジの中。クーパーと片腕の男がいます。
片腕の男「Is it future? Or is it past? Someone is here.」これは過去か未来か?
ローラ・パーマーが歩いてクーパーに近づきます。
「Hello agent Cooper. You can go out now. 」台詞は逆回転です。
クーパー「Who are you?」
ローラ「I am Laura Palmer.」
クーパー「But Laura Palmer is dead.」
ローラ「I am dead… Yet I live.」ローラ・パーマーは死んだけど、生きている。
ローラが自分の顔をパカっとめくると、まばゆい光が発しています……意味が分かりません。
クーパー「When can I go?」いつここを出られるんだ?
ローラ、クーパーにキスし、耳元で何か囁きます。パイロット版と同じ演出。
その後、ローラが叫びながら飛んで消える。
カーテンが揺れて、白い馬が見える。白い馬は、死の象徴です。
片腕の男「Is it future? Is it past?」
この台詞、2度目です。過去や未来が現在と交錯しているんでしょうか? そうなるともう、複雑すぎて手に負えない可能性が……。
ブラックロッジの別の部屋。電気を帯びた木(シカモア・ツリーだな)、枝にウメボシ状の頭部が乗っています。
「Evolution of arm. 」これは、腕(別の場所から来た小さい男=リトル・マイク)の進化形だと言っています。片腕の男(フィリップ・ジェラール/マイク)の失われた左腕がリトル・マイクでしたが、それが進化したのがシカモアの木だと。
はは〜。ひとつ解決しました。「The Return」に、なぜリトル・マイクが出演しないのか。
これは旧シーズン最終回の1カット。ブラックロッジのシーンです。
「When you see me again it won’t be me.」次に会うときの私は、私ではない。
おおおおお。
25年前の伏線を、ちゃんと回収しているんです。赤い服着た小さな男(リトル・マイク)は、「シカモアの木とウメボシ頭」に進化したということか!
もう、気絶しそうです。
「I am the arm and I sound like this…」異空間のキャラクターには、必ず固有の音があります。
「Do you remember your doppelgänger?」ドッペルゲンガーを覚えているか?
クーパーとボブが並んで笑う画(最終話からの抜粋)
「He must come back in before you can go.」
「ドッペルゲンガーがロッジに戻って来ないと、クーパーは外に出られない」ということが判りました!
サウスダコタ。メルセデスを車庫にしまうジャック。ジャックのアゴを手で揉みしだくバッド・クーパー。ゴリゴリゴリゴリ、しつこく揉んでいます。何なの!
クーパーがモーテルに帰ると、ベッドには下着姿のダーリヤが。
クーパー「2時間前にジャックを殺した」な、なんと。アゴを揉みまくって殺しちまったのか!
クーパーは、ダーリヤとレイが話している電話を盗聴しており、2人が、自分を殺すよう誰かに依頼されたことを知ります。ラスベガスの男か?
レイは電話で「いま、サウスダコタの刑務所にいる」「ジェフリーズからも電話があった」と語っています。それって、フィリップ・ジェフリーズ?
ダーリヤ「あなたは私を殺すの?」
クーパー「そうだ、ダーリヤ。誰がお前とレイを雇ったんだ?」
ダーリヤ「知らない。レイが知ってるわ」
クーパー「何でやつらはオレを殺したいんだ? やつらからいくらもらった?」
ダーリヤ「50万ドル……」「あなた、明日、どこかに行くって言ってたよね?」
クーパー「明日は、ブラックロッジって場所に戻る予定だったんだが、止めることにした」
「ダーリヤ、レイはヘイスティングの秘書から何か情報をもらってなかったか?」
ダーリヤ「知らないわ」
クーパー「位置座標や、数字や、文字の類だ。それをくれたら、命は助けてやる」
ダーリヤ「彼は彼女から何か聞いたと言ってた。でも、私には分からない」
クーパー、「スペードのA」に、耳みたいな角を書き加えたカードをダリヤに見せる。
「これが、オレの欲しいものだ」
これ、何を意味するのでしょうか。その後ダーリヤはバッド・クーパーに殴られ、銃で撃たれて殺されます。
それに続くシーンはいささか衝撃的です。クーパーが、無線でフィリップ・ジェフリーズと思しき男と通信するのです。
クーパー: Philip?
ジェフリーズ: You’re late.
クーパー: Couldn’t be helped.
ジェフリーズ: I missed you in New York, but I see you’re still in Buckhorn.
クーパー: And you’re still nowhere, is that correct?
ジェフリーズ: You met with Major Garland Brigs. お前はブリッグス少佐と会ってた。
クーパー: How did you know that? Phillip? 何で知ってんだ?
ジェフリーズ: Actually, I just called to say good-bye. 別れを言うために電話したんだ。
クーパー: This is Phillip Jeffries, right? お前はフィリップ・ジェフリーズなのか?
ジェフリーズ: You’re going back in tomorrow, and I will be with Bob again. お前は明日戻る。そしてオレは再びボブとともにいる。
クーパー: Who is this? お前は誰なんだ?
実は、会話がかみあってません。フィリップ・ジェフリーズと思われる男は、クーパーの質問に何ひとつ答えていません。しかし、重要な会話がありました。「クーパーはブリッグス少佐に会ったらしい」「ジェフリーズがボブと再び合流する」
クーパーはPCからFBIのサイトにログインし、連邦刑務所の見取り図をダウンロードします。
モーテルの隣の部屋(7号室)に行き、中にいたシャンタルという女に、「6号室をきれいにしておけ」と命令します。「近々、お前とハッチに手伝ってもらう」とも。
ふたたびブラックロッジ。シカモアの木が踊っています。
「253 Time and time again…」
「Bob Bob… Bob」
「Go now! Go now!」
クーパー、ブラックロッジを出られるか? 253って何だ?
リーランドが椅子に座っています。
「Find Laura…」ローラを探すんだ。
リーランド役のレイ・ワイズは、25年前と全然変わってないわ。
片腕の男「Something’s wrong.」
シカモア「My doppelgenger!」
カーテンをめくると、砂漠の道路がみえる。運転するのはバッド・クーパー。
ビーナス像が、シカモアのドッペルゲンガーだった!
ヘリングボーン柄の床が揺れて……。
木の枝と頭「non-exist-ent!」無存在!
クーパー、ブラックロッジを脱出した!
ニューヨークのグラスボックスにやってきたクーパー。浮遊しています。
このグラスボックスは、ブラックロッジから繋がってるってことだね!
しかし……グラスボックスから出られそうで出られないクーパー。
あの2人がセックスしたから? そうかも知れない。
ガチガチガチ……という不吉な音とともに、グラスボックスは閉じてしまいました。
そして、宇宙空間へ飛ばされるクーパー。
サラ・パーマーが自宅のリビングで、酒を飲みながらワイルドアニマルの番組を見ています。
相変わらず、ヘビースモーキングです。
サラ・パーマーも怪しい登場人物なんですよねえ。異能の人ですからねえ。
BANG BANG BARのネオン。そう、ロードハウスです。
シェリーがママ友4人でテーブルに。
「私の娘は、間違った男とつき合ってるのよ」
ジェームズ・マーシャルが店に入ってきます 。
ジェームズはバイクで事故して、今は静かにしているそうです。熟女に大人気です。
もう1人、イケメンオヤジがいて、シェリーにモーションをかけています。これはバルサザール・ゲティですね。
ロードハウスのステージでは、Chromaticsのパフォーマンス。「SHADOW」というナンバーで第2話終了。
第2話はかなり収穫大ですよ。
【第2話まとめ】
- ブラックロッジのクーパーは、外に出られる時が近づいてきました。
- マイク(片腕の男)の失われた片腕(他の場所から来た小さな男=リトル・マイク)は、進化してシカモアの木とウメボシ頭に変体していました。
- バッド・クーパーのいる場所は、サウス・ダコタでした。2エピソードですでに3人殺しており、バッド・クーパーも誰かに命を狙われています。
- ヘイスティングスの秘書が、重大な情報を持っているようです。
- バッド・クーパーは、フィリップ・ジェフリーズと連絡を取っているようです。しかしフィリップは、「さよならを言うために連絡したんだ」と。これ、デビッド・ボウイ本人なんですかね?
- サウス・ダコタの頭と胴体が別人の殺人事件は、進展がありません。
- シェリー、ジェームズは元気です。シェリーには娘がいることが判明。ロードハウスは繁盛しています。
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